前回に引き続き、今回も初心者シリーズです。下刈りに続き今回は「除伐」の様子をご覧いただきます。除伐とは、(今はなき?)農林水産関係用語集によれば「育成の対象となる樹木の生育を妨げる他の樹木を刈り払う作業。一般に、下刈を終了してから、植栽木の枝葉が茂り、互いに接し合う状態になるまでの間に数回実施」となります。この説明にないところでは「
枝打ち」も行います。誤解を恐れず大雑把に言えば除伐は「下刈り+枝打ち」ということになるでしょうか?
ちなみに、植林後のメンテナンス作業は「下刈り」→「除伐」→「間伐」の順に行われることになります。実は前回の投稿は今回の現場の後日の作業でしたが、メンテナンス作業の順番に合わせてすることにしました。
さて、今回も親方さまたちに連れられて現場に入ります。現場の周囲をみると、
はい、ただのヤブです。このヤブを植林だけ残して他の雑木を刈ることになります。もう言わずもがなですが、急斜面です。今回の現場は植林後12年ほど経過しており、植林は2~4メートルくらいの高さになっています。今回の作業も前回同様、植林を切ってしまわないように気をつけなければなりません。30cm程度のスギに比べれば間違いにくいのですが、深いヤブを何も考えずにガンガン切ってしまえばやはり間違いは起こるわけで、注意が必要であることには変わりません。今回も気力体力とも疲れる作業になることは間違いなさそうです。
まず、今回は作業前の準備の様子をば。親方さまたちはいつも決まって開始前に刃物のメンテナンスをします。今回は刈払い機が主役なので、使用する笹刈り刃を研ぎます。
笹刈り刃を研ぐときは丸い棒状のヤスリを刃に当ててこすりつけるように研ぎます。親方さまの手の動きを見ていると、しっかりストロークさせながらヤスリは安定してブレません。自分でやってみるとわかるのですが、これがなかなか簡単にはいきません。バイスか何かで刃を固定するようなこともできないので、初心者はヤスリと刃の両方を安定させることができず上手に出来ないのです。
ちなみに、親方さまたちは作業中の休憩時間にも刃物のメンテナンスを欠かしません。刃物の状態は作業効率に直結するため、常にベストコンディションを保つことで効率化/省力化を実現しているのですね。
こちらはノコギリの目立てをするけんちゃんの様子。繊細な作業のためか真剣そのもの!
というわけで、親方さまから刈払い機での伐木についてレクチャーを受けた後に作業開始です。まずはターゲットとなる地点に行くために親方さまがヤブに入り道を作りつつ進んでいきます。そのとき思ったことは、、、
親方さま、人間ですか?
親方さまはヤブを刈払い機で刈りながら進んでいくのですが、急傾斜だろうが何だろうがどんどん進んでいきます。通常、下り傾斜は転倒時に危険なため作業はできるだけしないようにするのですが、そんなこともお構いなしでぐんぐん進みながら道を引いていきます。私ができたてホヤホヤの道の急な下りを周囲の木に掴まりながらやっとのことで降りていくのに親方さまは私より早いペースで進んでいきます、道を作りながら。。。
「縦横無尽」という言葉がありますが、41年生きてきてこの言葉の示すところを初めてお目にかかることができた、という思いです。
そんなこんなでターゲット地点に到着し、作業を開始します。私は比較的緩斜面を任されたので始めのうちは植林を倒さないことだけ注意していました。
刈った後はこのような感じです。それなりの太さの木を切り倒している様子がお分かりになるかと思います。
しかし作業が進むにつれてやはり急な斜面にぶつかります。急斜面も植林がない場所はそれほど苦になりませんが、植林を残した後その先を刈るために移動してまた刈っては移動、を繰り返しているとヤブの中にポツンと一人佇んでいるような状態になってしまいます。こうなると「ここからどうすればいいの!?」と判断が難しくなるのです。これは言葉で伝えるのが難しいのですが、本当にどうしていいのやらわかりません。
そんなこんなでアタフタしながらも作業を進めます。刈払い機を持つ手がくたびれてきたところで枝打ちをし、また刈って、をとにかく繰り返します。そしてこちらの写真が除伐後の様子。
写真右の木を見ていただくと幹の下部の枝が落とされている様子がわかると思います。最初の写真と比較していただけるとだいぶすっきりしています。このようにして手入れしていくわけです。
とういわけで、今回は正直なところ何の戦力にもなっていなかったのではないか、というくらい作業が出来なかったように思いました。毎度のことではありますが、いつもにも増して山仕事の難しさを痛感しました。どんな仕事でもそうですが、初心者なんてのはホントに役にたたないですね。。。