さて、このブログの訪問者は大半がJOINのブログから来られる方です。私はJOINのブログのプロフィールに「地域おこし協力隊員へ応募を考えている方へ一言」というところがあるので、そこに「地域おこしって何でしょう?」と書いています。もしかしたら見てくださった方もいるかと思いますが、私がここに書いておこうと思うことは、まさにこのことです。
私が地域おこし協力隊となって最初に立てた仮説で、まさにその通りだと思ったことがあります。それは、「地域活性化の取り組みは、達成する命題がないのに具体的なアクションだけが存在し、その評価が積み上げられず、似たようなことを繰り返す」というものです。さて、協力隊のみなさん、これを聞いて、自分たちの地域の活動を見つめてみてください。目に見える目標に向かって取り組みがされ、その結果を反省して次に活かす、ということが繰り返し行われているでしょうか?ほとんどの地域では「NO」ではないでしょうか?
地域活性化の取り組みついて、その目的としてよく使われるワードは「活気」「笑顔」「幸福」などの抽象的なものがほとんどだと思います。しかし、それを達成するために何をするか?などと考えても有効な施策が出るわけがありません。それは上記のようなあいまいなワードを満たすための条件は人によって大きく異なるからです。
分かりやすいのは「幸福」ですよね。とにかくお金を稼いで贅沢な暮らしがしたい、リーダーシップを発揮して周囲から尊敬されたい、家族が幸せを感じてくれればそれだけで良い。世界一たくましく強い人間になりたい。自給自足で浮世離れした生活がしたい。もしこれらがそれぞれの幸福の条件だとしたら、こんなことが全て達成できるような施策があるでしょうか?それにも関わらず、地域活性化の取り組みは常に行われ、「活気」「笑顔」「幸福」などの言葉で成果があったかのように扱われます。そしてそれらは人口減、少子高齢化などに良い影響を与えることなく延々と取り組まれます。このような調子で目新しいことをやったところで、何かが変わる、と本当に思いますか?
私はこのような取り組みを「宝くじ戦略」と命名しています。特に使い道なんてないのに何となくお金がたくさんあると幸せだと考える人が、買わなければ決して当たらないからと自分に言い聞かせ「奇跡」を待ち続けます。もちろん、宝くじはもっと深い遊び方もできるでしょうし、個人が楽しむものですから、買うも買わないも個人次第なのですが、地域活性化は公金を投入して行われるものです。にもかかわらず、目標をあいまいにしたまま取り組まれて奇跡を待つ、これが本当にあるべき地域活性化の取り組みですか?
私が知っている地域活性化の取り組みの中で、高く評価できる事例は一つしかありません(もっとも、私はそれほど事例を知りませんが)。それは長野県下條村です。ここはすごいですよ〜。人口4000人ほどの村にも関わらず、2011年の合計特殊出生率は県下最高の1.92人。全国平均が1.39人ですから段違いです。下條村の取り組みは一言で言えば「トップダウン」。民間企業の社長だった方が村長となり役場改革を行なって出生率アップを達成しました。「若者よそ者ばか者」なんて世界観とは全く別物。地域活性化でよく言われるワードなどとは大した相関がないことは想像に容易いと思います。人口減と少子高齢化対策という具体的な命題に対して施策を行い達成した稀有な事例だと認識しています(※下條村については下記参照のこと)。
というわけで長々と書きましたが、協力隊の方々がこのエントリを読んでもピンと来ない人のほうが多いのでしょう。ご自身の活動を否定されていると思われるかもしれません。しかし、本当に地域活性化に取り組む心構えがあるならば、これは避けて通れない課題のはずです。
さて、あなたは「奇跡」を待ち続けますか?問題を見つめ直しますか?それとも。。。
※記
長野県下條村に関するリンクです。
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