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2015年3月末で管理人は任期を終えたため、更新を無期限休止します。気が向いた時に更新することがあるかもしれません。(2016/2/14)

2012年11月29日木曜日

初心者、林業の現場に行く ~ 地ごしらえ編

待望(じゃないよな別に)の初心者シリーズ、今回は地ごしらえの現場です。

「地ごしらえ」とは、一言で言えば森林伐採後の清掃と整理整頓の作業です。伐採した後の植林場は幹の先端や枝などで地面が覆われてしまいます。それらは次回の植林時に作業の妨げになるので地ごしらえをしてそれを片付けて植林がしやすい状態を作ります。また、幹や枝の整理だけでなく不要な草木を除くことも行います。

さて、今回の現場は本川の隣村、大川村にある植林場です。高知県は森林率日本一ですが、本川と大川、いわゆる「本川郷」は四国山地の麓に位置し、特に森林が多く平地が少ないところです。というわけで、今回の現場も言わずもがな急斜面です。場所によっては30度を超えるような崖になっています。

現場ですが、このように幹や枝、丸太などで埋め尽くされています。(ちなみにこの写真は30度程度の斜面を下向きに撮影したものです)

斜面に横向きになって水平に写真をとってみました。このような斜面での作業になります。

結構な急斜面です。
で、このような状態から以下のように幹や枝などを片付けていきます。

これは斜面下側から撮影したものです。杭を1.5 から2m程度の間隔で打っていき、そこに枝を集めます。切り株がある場合はそれを利用して杭が重みで抜けてしまわないように工夫するなどします。結構な量の枝を貯めこむことになるので杭はしっかりと打ち込み長持ちするようにしなければなりません。なので今回、私は時間がかかってもいいから丁寧に作業することを心がけました。私がやったところをやり直しでもしない限りは作業の邪魔にはならないので。

というわけで実際作業を進めていくのですが、やはり実際にやってみると分からないことだらけ。杭の太さ、杭打ちの深さ、杭の位置、集める場所の配置などよくわかりません。親方さまからは「苗を植えないところは不要」「植えやすいように片付ける」という話しがありましたが、最後に「それも植えた経験がないとわからない」とごもっともなお言葉も頂戴しました。そう、これは植林の知見がなければ上手にできないのです。そして一見単純作業のようだが場所ごとに地面の状態も違えば落ちているものも違う、全てが応用問題。だからすごくやっていて楽しいのです。
(でも業界では不人気の仕事だそうで。報酬が安いからでしょうが)

そうやって作業をすすめる中、トマトにように赤い小さな実をなっているのを見つけます。

それを見て親方さまが「それを食べたらゆっくり眠れるよ」と言うではないですか。そう、これはヒヨドリジョウゴというナス科の植物で、ソラニンという毒素(じゃがいもに多く含むアレです)を多く含んでいるとのことです。豆粒ほどの小さい身なので1粒くらい食べても死にはしないでしょうが、お腹には優しくなさそうです。

さて、引き続きマイペースで淡々と作業を進めますが、ふと一息ついてみると目の前は大パノラマ。これが山仕事の楽しみの1つでもあります。作業中に見える風景は同じものでも格別です。



そして斜面を見あげればこれまでの進捗状況が見えます。

 こうして作業を続けながら一日が終了しました。周りを眺めると、やはり私の作業が遅いことを実感するとともに、急斜面を異様なスピードで移動してどんどん作業をすすめる親方さまの姿が深く印象に残るのでした。

私はこの作業を計三日間お手伝いさせていただきましたが、最終日は体調不良もあってかバテてしまいました。マイペースでやっていたのにバテるんですよね。山師さんの体力には本当に感服させられます。私も林業のお手伝いで少しずつ体力をつけていきたいものです。

2012年11月20日火曜日

くくり罠講習会にて


10月12日は仁淀川町にて罠の講習会に勉強しに行かせてもらいました。


見に来たおじさんたちも、経験者が多いらしく講師の方を交えてああだこうだと雑談しながら進行したので他の参加者の方々の意見も勉強になりました。




講師の先生が持参した笠松式のくくり罠の改良版、各部分にアイディアを詰め込んでいて個性的な罠でした、罠を自作すると色々な自分なりの改良を加えることができるので、自作したほうがおもしろそうだ。





昨日とったという「おまけ」付きの罠、ワイヤーとスプリングでしっかりとつかむので、足の前半分だけかかっても離しません、法で定められた規定にワイヤーの間に「よりもどし」をつけなくてはいけないというのがあるけども、この罠のワイヤーは木にひっかかったところで「よりもどし」が効かなくなって、ちぎれかかっていたので非常に危険だった、と先生は言っていました。

よりもどしを2つ付けるというような改良も良さそうだ。




こちらは、「笠松式くくり罠」と言われるもの、土台にワイヤーを渡らせる溝のついた金具がついていて、それを踏むことではさまれつつワイヤーがバシッと締まる構造。
少し複雑で、自作するのは難しいと思いました。


ちなみにこれが、僕らが師匠に教えてもらって自作した罠、土台はいらず、エンビ管の筒も垂直なので、設置には技術がいるかもしれませんが、シンプルで合理的で扱いやすい、作りやすいものだと思います。

今回の講習では、罠を教えてもらっている師匠のすごさと、罠の多種多様さがよくわかりました。うんうん

はやく免許をとって、山の獣と向き合いたい!!






2012年11月15日木曜日

ネズミ捕物帳

それは少し肌寒さを感じ始めた9月半ば頃だった。

キッチンで作りおき用の煮物の下ごしらえをしている最中、ふと冷蔵庫に目をやると「!?」、何か動くものが冷蔵庫の下に隠れたように見えた。ゴキブリにしては細長いものが見えたような気がしたが、きっとゴキブリだろうと思い、その場は冷蔵庫の下にゴキ◯ェットを撒いておいたのだが、最終的にゴキブリの死骸を確認できなかった。随分と古くなったゴキ◯ェットだったから効き目が弱っていたのだろう、などと思いその場は一旦終了した。
しばらくいつもと変わらぬ日々を過ごしていたが、ある日トイレを出てキッチンに目をやると「!!!」、明らかに小動物と分かる尻尾の長い何かがキッチン台の下に消えていった。そしてその消えたあたりを除くと、流し台とガス台の間にわずかな隙間があるではないか!

というわけで、ネズミ対策の一部始終です。

私は言うまでもなく田舎暮らしではありますが鉄筋のアパートに住んでおります。地元の人達にしてみたらネズミが出るなんて当たり前の事のようですがそれは(失礼ながら)比較的古い木造住宅だからなのでは?と思ったりしました。こちとら隙間の少ない鉄筋アパート。部屋の隅々をチェックしましたがネズミが入ってくる隙間は見当たらないので、もし何かのスキに部屋に入り込んで部屋のどこかに住みついたのであればこれは大変。行くところのないネズミが文字通りねずみ算で増えていったら、、、対策しないわけにはいきません。

ということで、まずはインターネットで情報収集。ネズミ対策はかなり苦労するという話しが大半で、一番大事なのは「根気」。あきらめず、粘り強くやっていくことに。最初はキッチンの整理から始めます。普段食材のストック用に置いてあるダンボール箱を別の部屋に移動してネズミの隠れる場所をなくします。すべてのダンボール箱をどかしてみると、
 

なんと!スパゲティがこんなところに。。。そういえば以前使いかけの袋を開封したまま放置してしまったことがあったような。なので移動したダンボールをあえて元に戻し、ネズミを見かけた場所とこの場所の間の壁際に箱罠をしかけることにしました。ダンボールを元に戻したのは、ドブネズミやクマネズミは警戒心が強いため環境が変わると寄り付かなくなることがあるからです。箱罠に油揚げをつけてセットししばらく放置します。簡単にはかからないだろうなぁ、などと思っていたのですが、仕掛けてから二日目の夜に「ガシャーン!」と高らかな音が。

ハツカネズミです。ハツカネズミは比較的好奇心が高いらしく罠にかかりやすいとのことで今回も例外ではないようです。近寄ると必死にオリから逃げようと頑張ります。で、その、何というか、、、かわいいんですよね、ちっこくて(笑)。こんな愛嬌あるヤツを粘着シートで捉えてヒクヒクしているのを見たら動物好きではない私でもいたたまれない気持ちになっていたでしょう。というわけで、こいつは人里離れた山へ逃すことにし、再び同じ所に罠を仕掛けます。何匹いるかわかりませんから。そして次の日の夜、また「ガシャーン!」。あぁやっぱり、などと思いその場はそのままにして次の日の朝、オリを見ると、、、なんともぬけのからではないですか!!!この狭いオリの間をハツカネズミはすり抜けてしまうようです、素晴らしい柔軟性。。。次回からは捕まえたら即外へ持ち出すようにします。

そんなこんなでこの後は毎日ネズミがかかったのですが、外へ逃すこと4匹、逃げられたのが3匹。で、最後に逃した1匹はオリを外に持ち出す前に逃げ出し私の目の前をとおり流し台のほうへ移動したのですが、なんと流し台のど真ん中でネズミが消えたではないですか!よくよく流し台の下を調べると、流し台の台座と流し台は別物で、単に台座の上に流し台が乗っかっているだけで、台座のへりと台座は密着しておらず普通に手が入る程の隙間がありました。そして流し台の下がネズミの住み家になっている様子がないので、どうやら排水管と台座に隙間があり、そこからネズミが出入りしているようなのです。ということは流し台の隙間を埋めてしまえば部屋にネズミは入ってこない。そこで考えた対策がこれです。

炭酸水のペットボトル(1.5リットル)の上部を切り取り2つのボトルの切り口をはめ込みます。そしてこれを流し台の隙間のところにセット。

これがうまいことしっかりはまり込みます。大きめのペットは何かと再利用ができるだろうととっておいてよかった!万が一ネズミがボトルをかじったとしても実質2段構えですからそう簡単には中に入れませんし、外側からペットをかじった跡が視認できるのでボトルの交換で対応できます。ボトルさえあればすぐに用意できますし(笑)。

この対策を施した後も引き続き罠をセットして様子を見ました。それから3週間経ってもネズミは一匹たりとも罠にはかかりませんでした。そしてひと月以上経った今、この対策でネズミをシャットダウンすることが出来たと高らかに宣言します。

このように今は平穏な夜を暮らしているのですが、私とは対照的にネズミと一緒に暮らす相棒のけんちゃんとネズミたちの関係についてはこちらをご覧ください。

2012年11月11日日曜日

自念子ノ頭草刈りの日々


今週は自念子ノ頭という山の登山道の草刈りをした
連日通う1702mの山は、最高にきもちよくって疲れさえも忘れさせてくれる

初日はまさかの霧氷!
山のてっぺんちょが真っ白になってるやないか!



瓶ヶ森UFOラインからも楽しめるから、観光客もたくさん道路縁から写真を撮っていた。




凍える寒さの中でも作業をしてると、あったまってきてむしろ気持ちがいい。



遠くからわざわざ見に来る人もいる霧氷の山の中を一日中作業するのは、とっても幸せなこと、身体も鍛えられるし草刈りスキルも上がる、山とも仲良くなれて、こんな作業がずっと続けばいいのになと思った。

初日は重い笹ヤブの中力んで草を刈ってしまうもんだから、手がグーパーできんくなるぐらい疲れた、けども、一晩寝ると全快!
山仕事に身体が慣れてきてる!と、まぁこんなことで毎日一喜一憂してる。

草刈りの成果は、現地で歩いてみると歴然たるものだけど、写真では解りづらい。
写真の上が草刈り前、下二枚が草刈り後。





3日をかけて草を刈って掃除もした。
毎日山は同じ山ではなくて、景色も温度も風も全然違う、紅葉は今ではもう足下のずっと下の方にまで下っていってしまった。
次には山の上の方から冬がやってきてるのがわかる。
日暮れ時の風はものすごく冷たくて耳が痛くなるぐらいだ。



頂上に到着、相棒のガクさんは反対の登り口から掃除しながら登ってくるので、独り山頂でお昼、とっても静かな真空の空気の中でたった独りの贅沢を味わう。



これはガクさんと草刈りの後の下山の時の写真、遠くに見える山を照らす何者かが、雲の上にはいるらしい。

2012年11月3日土曜日

畑の鳥獣被害対策

10月13日に農業振興フェアを見に行きました。目的は「畑のサル対策」です。

本川では農作物の害虫被害は無農薬栽培でもそれほど多くないのですが、鳥獣被害、特にイノシシとサルは対策を講じなければ間違いなくやられる、と言っても過言ではありません。私どもでやっているでもそれは同様で、現状は大豆にネットを張ることと、頻繁に畑に行き、人の往来を匂わせるようなことはしています。イノシシは人が来るところにはあまり出てこないらしいのですが、サルは対策を講じてもその上を行って作物を荒らすこともしばしばとのこと。なので他の地域ではどのような対策をしているのか、ということに非常に興味があったわけです。

さて、まずは高知県での取り組みについて。鳥獣対策の現状は「地域でまとめて」が主流で、個々の田畑に対策するのではなく、農地が集まる地域をひとくくりにまとめて対策をしているそうです。防護柵も田畑単位ではなく地域をまとめて柵で囲んでしまうということで、四万十市西土佐では全長が2,000km(!)近くにも及んでいるそうです。もうこうなると進撃の巨人の世界ですね。しかしながらそれだけ鳥獣被害に頭を悩ませている地域があるということでもあるわけです。
しかし本川地区は広範囲に少数の集落が点在しているため、少ない耕地に対して作業が膨大すぎるのではないかと思います。

次が今回のメインイベント、「みんなで取り組むサル対策」です。
この講演は非常に興味深いものでした。まず考えなければいけないことは「なぜサルが来るのか」ということ。単に畑に作物があるというだけではなく、畑の周囲に残った作物や料理に使えなくなった収穫物を捨てたりすることで、それがサルの格好の餌場になることがよくあるそうです。しらないうちにサルを餌付けしているのですね。なのでまずはサルの餌場にならないような環境作りが必要だ、と。
その次に初めて「田畑を守る」という段階に入ります。これはやはり柵などによる防護と「追い払い」です。柵はやはり田畑単位ではなく広範囲に農地のある地域を囲む、柵の周辺は草刈りは伐木をしっかりやっておくことが重要だということです。見通しのよい平坦なところは目立つだけでなく地面以外に逃げ場がないためか、サルはとても警戒心を高めるそうです。そして追い払いはできるだけ大勢で行うのが効果的だそうです。一人で追い払っても遠くから田畑に接近するなんてことはサルはすぐできるようになるようですね。
そして最後に個々の田畑の対策や駆除。やはり上記だけで全ての被害を防止することはできないので、駆除の準備もしておくことが望ましいのでしょう。

この講演では取組の具体的な内容と効果を数字で表していたので対策が効果的であることがよく理解できました。しかしながら残念なのはその費用対効果について触れられなかったことです。農作物への被害以上に投資額がかかっていたらあまり意味がありませんからね。そこはやなり出して欲しかった。

というわけで、私は個々の畑の対策についての話しを聞くつもりだったのですが、今回は良い意味で期待はずれでした。この話しを持って帰って本川地区で応用することは可能だと思いますが、基本的に職業農家が少ない本川では、今回のような対策は少々個人の事情に深入りしすぎになってしまうのだろうと思います。あと、傾斜地に畑をしているところがほとんどなので、畑の周りの見通しを良くすることもかなり大変なことです。しかしながら今回の話しには多くの示唆があり、非常に有意義なものでした。

というわけで、この講演終了後、小腹がすいたので地産地消コーナーへ。


会場のある南国市では米粉に力を入れているのでしょうか?米粉のうどんとカレーパンです♪
そして帰りの軽トラには前日に柳野地区のワナ猟名人直々に指導を受けながら作成したくくり罠。

あぁ、ホントに山の中に住んでるんだなぁ、オレ。

蛇足ですが、今回は高知に来て初めてまともな講演を聞くことができた、と思いました。講師の方が真剣に取り組んだものの成果だということも言葉の節々から伝わって来ました。逆に言えば、地域に関わる話しはそれだけデタラメでいいかげんな話しが多いということだと私は思っています。デタラメを見抜く力も地域には大切です。