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2012年11月29日木曜日

初心者、林業の現場に行く ~ 地ごしらえ編

待望(じゃないよな別に)の初心者シリーズ、今回は地ごしらえの現場です。

「地ごしらえ」とは、一言で言えば森林伐採後の清掃と整理整頓の作業です。伐採した後の植林場は幹の先端や枝などで地面が覆われてしまいます。それらは次回の植林時に作業の妨げになるので地ごしらえをしてそれを片付けて植林がしやすい状態を作ります。また、幹や枝の整理だけでなく不要な草木を除くことも行います。

さて、今回の現場は本川の隣村、大川村にある植林場です。高知県は森林率日本一ですが、本川と大川、いわゆる「本川郷」は四国山地の麓に位置し、特に森林が多く平地が少ないところです。というわけで、今回の現場も言わずもがな急斜面です。場所によっては30度を超えるような崖になっています。

現場ですが、このように幹や枝、丸太などで埋め尽くされています。(ちなみにこの写真は30度程度の斜面を下向きに撮影したものです)

斜面に横向きになって水平に写真をとってみました。このような斜面での作業になります。

結構な急斜面です。
で、このような状態から以下のように幹や枝などを片付けていきます。

これは斜面下側から撮影したものです。杭を1.5 から2m程度の間隔で打っていき、そこに枝を集めます。切り株がある場合はそれを利用して杭が重みで抜けてしまわないように工夫するなどします。結構な量の枝を貯めこむことになるので杭はしっかりと打ち込み長持ちするようにしなければなりません。なので今回、私は時間がかかってもいいから丁寧に作業することを心がけました。私がやったところをやり直しでもしない限りは作業の邪魔にはならないので。

というわけで実際作業を進めていくのですが、やはり実際にやってみると分からないことだらけ。杭の太さ、杭打ちの深さ、杭の位置、集める場所の配置などよくわかりません。親方さまからは「苗を植えないところは不要」「植えやすいように片付ける」という話しがありましたが、最後に「それも植えた経験がないとわからない」とごもっともなお言葉も頂戴しました。そう、これは植林の知見がなければ上手にできないのです。そして一見単純作業のようだが場所ごとに地面の状態も違えば落ちているものも違う、全てが応用問題。だからすごくやっていて楽しいのです。
(でも業界では不人気の仕事だそうで。報酬が安いからでしょうが)

そうやって作業をすすめる中、トマトにように赤い小さな実をなっているのを見つけます。

それを見て親方さまが「それを食べたらゆっくり眠れるよ」と言うではないですか。そう、これはヒヨドリジョウゴというナス科の植物で、ソラニンという毒素(じゃがいもに多く含むアレです)を多く含んでいるとのことです。豆粒ほどの小さい身なので1粒くらい食べても死にはしないでしょうが、お腹には優しくなさそうです。

さて、引き続きマイペースで淡々と作業を進めますが、ふと一息ついてみると目の前は大パノラマ。これが山仕事の楽しみの1つでもあります。作業中に見える風景は同じものでも格別です。



そして斜面を見あげればこれまでの進捗状況が見えます。

 こうして作業を続けながら一日が終了しました。周りを眺めると、やはり私の作業が遅いことを実感するとともに、急斜面を異様なスピードで移動してどんどん作業をすすめる親方さまの姿が深く印象に残るのでした。

私はこの作業を計三日間お手伝いさせていただきましたが、最終日は体調不良もあってかバテてしまいました。マイペースでやっていたのにバテるんですよね。山師さんの体力には本当に感服させられます。私も林業のお手伝いで少しずつ体力をつけていきたいものです。

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